カラダのために知っておきたい「腸内フローラ」と「腸活」
美容・健康に対する意識が高まりつつある中、「腸活」に関心が集まっています。そして腸活と共に、よく耳にする機会が増えた「腸内フローラ」という言葉。しかし実際のところ、「腸活とは?」「腸内フローラとは?」と聞かれて即答できる方は少ないかもしれません。正しく理解することでこそ、腸内環境が整って美容・健康に繋がっていきます。ここで、そんな腸内フローラと腸活について詳しく解説しますので、是非参考にしてください。
腸内フローラって何?
人間の腸内には1,000種類以上にも及ぶ、実にさまざまな腸内細菌が存在しています。そして、これら腸内細菌が上手くバランスを取ることで、腸内環境を整えて健全な状態に保ってくれるのです。この腸内細菌は腸内に花畑のように群がって生息しているため、日本語で「お花畑」を意味する「フローラ(flora)」から『腸内フローラ』と呼ばれています。
この腸内フローラは、健康維持に欠かせないだけではありません。腸内にある免疫細胞にも影響を与えて、病原体などに抵抗する腸のバリア機能を高めます。しかし腸内細菌には「バランス調整菌」と「バランス撹乱菌」、そして免疫力低下等によって「バランス撹乱菌」の働きをしてしまう「日和見(ひよりみ)菌」の3種類が。腸内を健全な状態に保つためには、「バランス調整菌」を増やして腸内フローラを整えることが大切です。
腸内環境の状態は“便”でチェック!
果たして自分の腸内環境が、現在どのような状態にあるか。これをチェックするもっとも身近な方法は、“便を見る”ことです。便の状態について以下3つの点をポイントに確認すると、ある程度の判断ができます。
<便を見る際のポイント>
- どれくらいの頻度で排便があるか
- 便はどのような色や固さか
- 便からどのような臭いがするか
これらの内容は、普段あまり気にしたことがないという方は多いかもしれません。しかし日常の中で、便の状態がその都度異なっていることは、恐らく気づいている方が多いはず。各ポイントについて便が次のような状態であれば、腸内環境は正常と言えるでしょう。
<正常な状態のポイント>
- 便秘/頻便ではなく定期的な排便がある(1日1回程度)
- 半固形~やや固め(表面にビビ)で黄土色よりの茶色
- キツい臭いがしない
腸内環境は一定ではなく変化しますので、排便の際によく確認するようにしてください。おかしな状態が見られる場合は、次項でご紹介するような方法で腸内環境の改善に取り組んでみましょう。
今すぐ始める!腸活方法とポイント
それでは腸内環境を整えるための“腸活”について、具体的な方法をご紹介します。日常生活からすぐ取り入れられるものばかりですので、ぜひ実践してみてください。
<バランス調整菌を増やす食べ物を摂る>
バランス調整菌が含まれている、もしくはそのエサとなって増やしてくれる食べ物を積極的に摂りましょう。具体的には、以下のようなものが代表例です。
◎バランス調整菌を含む食べ物
- 発酵食品:ヨーグルト、キムチ、納豆、味噌、米麹、塩麹、甘酒、ぬか漬け 等
◎バランス調整菌のエサになる食べ物
- オリゴ糖:はちみつ、ごぼう、玉ねぎ、にんにく 等
- 食物繊維:雑穀、もち麦、玄米、オートミール、野菜、果物、海藻、イモ類 等
バランス調整菌の含まれているものを「プロバイオティクス」、そしてバランス調整菌のエサとなるものを「プレバイオティクス」と呼び、これら両方の特性を持つ食品を摂取して腸内環境を整えることを「シンバイオティクス」と呼びます。
<水分不足を避ける>
便には多くの水分が含まれていますが、水分が不足すると便が固くなったり便通が悪くなったりします。前述の通り、便の状態は腸内環境を確認するバロメーター。こまめに水分を補給して、水分不足にならないよう注意しましょう。
<自律神経を整える>
腸の働きを調整してくれる自律神経。「交感神経」と「副交感神経」があり、これらが優位になることで腸が弛緩・収縮します。しかし自律神経が乱れると腸にも悪い影響を及ぼし、便秘や腹痛などを起こすことも。そのため、日ごろから自律神経を整えるよう意識しましょう。起きて活動している間は交感神経が優位になりますが、例えば入浴や睡眠時には副交感神経が優位になると言われています。アロマなどを活用し、心身をリラックスさせてあげるのも良いでしょう。
<腸マッサージ>
腸をマッサージしたり腹筋を鍛えたりすると、排便が促進されます。便秘がちという方は、ぜひ取り組んでみてください。ただし強く刺激し過ぎると腹部が痛むことがありますので、力加減に注意しましょう。
<腸を温める>
腸内環境を整えるには、腸を温めてあげることも有効です。例えばシャワーで汗を流すだけでなく、ちゃんと入浴するのも良いでしょう。あるいは起床時や寝る前に、白湯を飲むのもおすすめ。ねぎ、しょうが、にんにく、トウガラシなどの食品も、腸を温めてくれます。腹部が冷えないよう、腹巻きを活用するのも一つの方法です。
まとめ
腸内フローラの状態は、毎日を健康的に過ごすうえで重要。食事内容を工夫したりマッサージしたりと、“腸活”によって整えましょう。まずは現在の状態を、便から確認してみてください。
誰でも腸内環境は改善できますが、人それぞれ最適な状態があります。例えば常に高いパフォーマンスの求められるアスリートは、その状態が一般人と大きく異なることが研究で分かりました。しかも競技種目によって、腸内細菌の種類などは違っています。次回は、そんなスポーツ競技者の腸内環境について詳しくご紹介しましょう。